専門性の掛け合わせが、市場価値を生む。
エンジニアリングとデータ分析、
二つの領域を戦略的に統合するキャリア
Assistant Manager/Hyper Automation DivisionⅠ
松本 悠日
一つの領域に依存しない、キャリアの設計思想。
アナリストとしてのキャリアは、感覚的な意思決定に客観的根拠を持ち込みたいという課題意識から始まりました。豊富な経験を持つ選手層と対等に渡り合うには定量的な裏付けが不可欠であり、対戦傾向を数値化する独自の分析手法を確立したことが、後にチームのアナリストという役割を担う契機になりました。
分析基盤がまだ整っていない環境下で、属人的な判断に依存していたチームの意思決定プロセスに、再現性のあるロジックを組み込んでいく作業は決して平易ではありませんでした。しかし、この経験を通じて「不確実性の高い環境でも、構造化することで精度の高い判断は可能である」という確信を得られたことは、その後のキャリア選択にも大きく影響しています。
一方で、事業として発展途上にあるeスポーツ業界単体でキャリアを築くことには、中長期的なリスクも感じていました。大学卒業を控えたタイミングで、正社員として企業に所属しながらチーム運営にも携わる「デュアルキャリア」という選択肢を得たことは、専門性を分散させながらキャリアの持続可能性を高める意思決定だったと捉えています。
実務未経験という状態での意思決定には当然リスクも伴いましたが、「好きな領域を手放さずに、社会人としての基盤も構築できる」という機会の価値を優先しました。拠点を関西から東京へ移すことも含め、短期的な不確実性より中長期的な選択肢の広がりを重視した判断でした。
結果として、エンジニアとアナリストという二つの専門性は、互いに独立した業務ではなく、相互に補完し合う資産になっています。技術領域で培った論理的思考はデータ分析の精度を高め、分析領域で培った定量的な視点はクライアントへの提案における説得力を高める。二つの軸を持つことで、単一領域では得られない意思決定の幅を確保できていると感じています。
「両立は大変ではないか」と聞かれることもありますが、私にとってこの二つは優先順位をつける対象ではなく、共に本業として扱うべき専門領域です。デュアルキャリアという選択は、リスク分散と専門性強化を同時に実現する、合理的なキャリア戦略だったと今では捉えています。
客観的根拠が、意思決定の質を変える。
エンジニアとアナリスト、この二つの肩書きは一見畑違いに見えますが、私の中では「不確実な情報を、意思決定できる形に整理する」という一つの軸でつながっています。クライアント企業のDX推進も、eスポーツチームの勝敗分析も、突き詰めれば同じ思考プロセスの応用だと捉えています。
エンジニア領域では、開発リーダーとして銀行・不動産・フランチャイズ業など大手クライアントのプロジェクトに参画しています。要件定義の段階から経営層の意思決定を補佐する立場に立つことも多く、単なる開発の実行者ではなく、事業課題を技術で解決する提案者としての役割を求められています。
アナリスト領域では、チーフアナリストとしてチーム運営の意思決定に関わる立場を担っています。感覚的な議論に陥りがちな現場に、定量データという共通言語を持ち込み、限られたリソースをどこに投資すべきかという経営的な判断材料を提供することが、私の役割だと考えています。
二つの領域を行き来する中で得た最大の資産は、「異なる業界の意思決定プロセスを比較できる視点」です。IT業界の合理性とeスポーツ業界のスピード感、それぞれの強みを相互に持ち込むことで、片方の領域だけでは生まれなかった発想にたどり着くことが少なくありません。
クライアントワークにおいて意識しているのは、要望の表層ではなく、その先にある経営課題まで踏み込むことです。目の前の依頼に応えるだけでなく、なぜそれが必要とされているのかを構造的に捉え直すことで、当初の想定を超えた解決策を提示できると考えています。
クライアントが最初に口にする要望は、あくまで課題の一部であることが多いと感じています。「なぜそれが必要なのか」「本当に解決したいことは何か」を丁寧に掘り下げていくと、当初の依頼とは違う解決策の方が効果的だったというケースも少なくありません。その差分を見つけ、提案できることこそが、開発リーダーとしての存在価値だと思っています。
変化のスピードが速いIT業界において専門性を維持するには、継続的な学習投資が欠かせません。新しい技術や手法を学ぶだけでなく、実務に即座に落とし込むサイクルを短く保つことを意識し、常に市場価値を更新し続ける姿勢を大切にしています。
組織全体の生産性を最大化するリーダーシップ。
エンジニア領域では、将来的にプロジェクトマネージャーとしてチームを率いる役割を見据え、日々研鑽を重ねています。プロジェクト全体の生産性を最大化するマネジメント力と、クライアントとの信頼関係を構築する対話力の両立を、次のステージにおける課題と位置づけています。
PMという役割には、技術力だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰する構造的な視点と、リソース配分を最適化するマネジメント力が求められると考えています。開発リーダーとして積み重ねている一つひとつの経験を、将来のマネジメント基盤として体系化していく段階にあります。
アナリスト領域では、所属チームのVALORANT部門における世界大会出場を組織目標に掲げ、選手育成プログラムの再設計や戦術面のアップデート、コンディション管理体制の構築に取り組んでいます。
定量分析だけでなく、選手のコンディションや心理的な状態をマネジメントすることも、組織のパフォーマンスを左右する重要な要素だと捉えています。プレッシャーのかかる局面でも本来のパフォーマンスを発揮できる体制を、日頃のコミュニケーション設計を通じて構築しています。
デュアルキャリアは、雇用の安定性と専門領域での自己実現を両立する、合理的なキャリア構築のモデルだと考えています。eスポーツ業界においてはまだ事例が少ないからこそ、実績を通じてその再現性を証明していきたいと考えています。
「二つの領域を同時に担うことで、双方が中途半端にならないか」と問われることもありますが、実際には逆の効果を感じています。一方の領域で課題に直面した際、もう一方の視点に切り替えることで思考のリフレッシュが図れるほか、双方の経験が相互に質を高め合う構造になっています。この相乗効果こそが、デュアルキャリアの本質的な価値だと考えています。
組織としてもデュアルキャリア採用を強化していく方針であり、同様の志向を持つ人材との協働を今後の楽しみの一つとして捉えています。
自身のキャリアがロールモデルとなることで、専門性を手放さずにキャリアを構築するという選択肢を、次に続く人材へ提示していきたいと考えています。デュアルキャリアが特別な事例ではなく、組織における標準的な選択肢の一つとなる未来を、ITSOとともに実現していきたいです。
個人の挑戦を、組織の資産へと変える文化。
昇進や結婚、出産といったライフイベントを重ねる中で、人はリスクを回避し、安定志向へと傾きやすくなります。それでも専門性を高め続けたいと考える人材にとって、ITSOは合理的な選択肢だと考えています。デュアルキャリアに限らず、個人の挑戦を組織として後押しする文化が根付いています。
私自身、実務未経験という不確実性を抱えた状態での入社でしたが、組織的なサポート体制があったからこそ、専門性を確立できたと考えています。挑戦する意志さえあれば、経験の有無を問わず活躍できる環境が整っていると実感しています。
キャリアの成否は個人の実力だけでなく、環境やタイミングとの巡り合わせに左右される部分も少なくありません。挑戦を後押ししてくれる組織と仲間を見極めたうえで、一歩を踏み出していただければと思います。
異業種からでも、未経験の領域からでも、専門性は後天的に構築できると自身の経験を通じて実感しています。専門性を手放さずにキャリアを設計していきたいと考えている方には、ぜひ一度ITSOという選択肢を検討していただきたいです。
私の座右の銘は、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。
学生時代に野球をしていた頃から好きな言葉で、「挑戦しなければ、大きな成果や成功をつかむことはできない」という意味があります。野球でも仕事でも、挑戦するときには不安や失敗のリスクが伴います。しかし、そこで一歩を踏み出さなければ、自分の可能性を広げることもできません。
ITSOでも新しい技術やこれまで経験したことのない業務に積極的に挑戦し、自分のできることを増やしていきたいと考えています。そして、一つの分野だけにとどまらず、幅広い分野で価値を発揮できる人材になるために、これからもこの言葉を大切にしていきたいです。
虎子を得ず」