決まったソリューションを売るのではなく、
「課題解決」を届ける。
上流から下流まで、
全工程に関わり続けてきた技術者が語る会社のかたち
代表取締役 CTO
深野 靖浩
お客様の課題を聞き、解決につながる手段を選ぶ。
ITSOという会社を一言で表すなら、「課題解決」を提供する企業だと考えています。特定のソリューションを売ることにこだわりはなく、技術分野に強みを持つメンバーがお客様の課題を聞き、解決につながる提案を行うというスタイルを取っています。
こうしたビジネスモデルの背景には、当社の出自であるRPAという技術の特性が大きく関わっています。一般的なシステム開発では、細分化された機能を具体的に開発することが中心になりますが、RPAは「クライアントの業務を自動化する」ことが目的であるため、開発者はまず顧客の業務をかみ砕いて理解する必要があります。そのうえでRPA化の方法やプロセスを提案し、クライアントと合意形成を図りながら開発を進めていきます。要件定義から実際の開発まで、一人の開発者がスケジュールを立てながら全体をマネジメントしていくスタイルが、当社のビジネスの根幹にあります。
こうした関わり方を支えているのが、ツールにこだわらない姿勢です。いわゆるRPAエンジニアの多くは、特定のツールひとつですべてを完結させる傾向がありますが、当社ではPowerShellやSQL、マクロなども組み合わせ、RPAにとどまらないITコンサルタントのような関わり方ができる点が特徴です。実際、リピートや紹介でご依頼をいただくお客様が大半を占めており、他社でRPAプロジェクトを進めたものの途中で頓挫し、あらためて相談をいただくケースも少なくありません。
他社と比較したときの強みについてよく聞かれますが、まずコンサルティングファームとの違いを思い浮かべます。いわゆるコンサルティングファームは提案までで、実際の開発・デリバリーまでは担いません。そもそもコンサルタント自身がエンジニアではないケースも多く、求められるスキルと実際の仕事の間にギャップが生まれやすいと感じています。私たちは逆に、開発から入ってプロジェクトを進めていくので、そこが大きな違いです。SES企業と比較した場合も、案件ごとに人を送り込むというより、プロジェクト単位で自分たちが責任を持って進めていくスタイルを取っているので、そもそもやっていることが違うという感覚があります。同じような座組みで同じような仕事をしている会社は、実はあまり見当たらないというのが実感です。
開発者がITコンサルタントのような関わり方をする体制についても、よく聞かれるのですが、実は意図してその体制を作ったわけではありません。できることをやっていたら、自然とそうなっていったというのが正直なところです。私たちがやっているような仕事は、いわゆる「誰にでもできる仕事」ではないので、そもそも大量にエンジニアを揃えて提案するようなやり方とは相性が悪い。逆に言えば、そういうをしてやり方をしていないからこそ、お客様の側からもそういう形での相談はいただかず、結果として私たちのところに来る相談は自然と、業務の本質的な課題に近いところに集まってくる。そうした仕事を積み重ねてきた結果として、今のような体制になっているという感覚です。
リピートやご紹介による依頼が多い理由についても、特別な営業活動をしているわけではありません。お客様が私たちに価値を感じてくださっているから、また相談しようと思ってくださるのだと思っています。その価値というのは、単純な技術力の高さというよりも、言われたことをそのままやるのではなく、自分の頭で考えて「こうした方がいいのではないか」と提案できる人間を採用できているかどうかに近いと感じています。プロジェクトを進めるうえでお客様の意思決定に影響を与えるのは、技術力そのものよりも、そうした考える力を持ったメンバーが揃っているかどうかなのではないかと思っています。
開発経験のないコンサルタントが作る低品質なサービスへの違和感が、創業のきっかけになった。
大手ERP企業、外資系コンサルティングファームでの勤務を経て、2018年、代表取締役CEOの北川らとともにITSOを創業しました。ITSOを立ち上げようと思った理由には、当時の日本におけるRPAコンサルティングのあり方に対する違和感がありました。多くの企業がRPAの技術に注目し、導入を進めようとしていた時期、開発経験や知識を十分に持たないコンサルタントが手がけた低品質なサービスが世の中に数多く出回っている状況を目にしていました。
技術に精通した開発者が作ったものでなければ、顧客のビジネスを本当の意味で成功に導くことはできない。裏を返せば、開発のバックボーンを持つ自分たちがこの領域に取り組めば、クオリティが高く顧客にとってメリットの大きいサービスを生み出せるはずだという確信がありました。開発技術に裏打ちされた高品質なソリューションを提案できる企業でありたい、というのが目指す姿です。
今後もさまざまな技術が登場することが見込まれますが、土台となる考え方や「課題解決」の姿勢は変えずに、新たな技術やソリューションを柔軟に取り入れていく方針です。労働者人口の減少を背景にシステム化のニーズは今後も加速していく一方で、スクラッチ開発よりもローコード開発・ノーコード開発が主流になっていくと見ており、既存の技術を組み合わせて開発できる人材の重要性が高まっていくと考えています。
創業のきっかけについては、前職でUiPathを導入するプロジェクトに携わっていたのですが、当時すでに社会人としては3社目の頃でした。そんな中、知人の会社でもUiPathの仕事があると聞き、平日の夜や土日を使って手伝うようになったのが最初のきっかけです。そこからしばらくして、一緒に活動していた仲間から「会社を作ってみないか」と声をかけられ、ちょうど仕事も取れそうな見込みがあったので、思い切って独立に踏み切りました。
以前から、日本におけるコンサルティングのあり方には違和感を持っていました。コンサルティングという仕事は、一見すると課題解決をしているように見えますが、実際にはクライアントの業務そのものが変わるところまで責任を持たないケースが多いと感じています。提案の是非を問わず、その後の実行・デリバリーの段階でしわ寄せが生じてしまうことも少なくありません。だからこそ私たちは、提案だけでなく実際の開発・実行まで一貫して責任を持つという立ち位置にこだわっています。
社会人として当然のことを徹底し、「意図」と「本質」を大切にする。
組織づくりで大切にしているのが、「意図」を持つことです。メンバーが作成した資料の意図が不明瞭なときには、きちんと指摘するようにしています。自分の中で意図が明確になっていなければ、お客様にも伝わるはずがないからです。加えて、「本当にそうなのか」と前提を疑い、本質を捉える視点を持つことの重要性も日々伝えています。
今後については、現状ではまだ自らも現場に入ることが多く、すべての社員を技術面でフォローしきれていないという課題があります。全体的な技術力の底上げを図ることで、自律的に動けるメンバーを増やすとともに、一人ひとりのエンジニアとしての市場価値を高める後押しをしていきたいと考えています。
「意図を持つこと」については、資料作成を例によく話しています。言われた通りに資料を作ること自体は誰にでもできますが、なぜその資料が必要なのか、誰に何を伝えるためのものなのかを理解しないまま作ってしまうと、必要そうな情報を並べただけのものになってしまいます。大切なのは、その資料で何を伝えたいのか、何を達成したいのかという目的を自分の中に持ったうえで、それを実現する手段として資料を作るという順番です。これは主体性にもつながる話で、目的があって、それを達成するための手段を考えるという順序を、日々のマネジメントのなかでも大事にしてほしいと伝えています。
重視するのは学歴や職歴の華やかさではなく、事業を任せられるだけの視座と胆力があるかどうか。
今後入社を期待するのは、自分で考える力があり、自発的に行動できる人です。エンジニアについては未経験の方も歓迎しており、選考の過程で見ているのは「考える力」のみです。具体的には、物事の仕組みをきちんと理解できるかどうかという観点です。選考ではソースコードを書いてもらう機会もありますが、たとえば現在の要件が変更された場合にどのようにソースコードを変えるかといった、ロジックを整理できるか、仕組みを把握できるかという点を重視しています。
ITSOは決まったソリューションを提供する会社ではないからこそ、クライアントの真の課題解決に取り組める面白さがあります。簡単に答えが出せない仕事である分、手ごたえも大きく、やりがいも大きい仕事だといえます。
職歴や学歴は一切不問です。自分自身の「力」に自信がある方に、ぜひ来ていただきたいと考えています。
学歴や職歴を重視していない理由について、よく聞かれます。大企業が学歴を判断材料にするのは、基本的に「誰にでもできる仕事」を担ってもらう前提があるからだと考えています。大量の応募者の中から効率的に人を見極めるための、相関性の高い指標として学歴を使っているだけで、本当に見極めたいのは学歴そのものではなく、能力のある人かどうかのはずです。私たちの場合、そもそも誰にでもできる仕事をお願いしているわけではないので、学歴という代理指標に頼るよりも、実際に考える力があるかどうかを直接見極める必要があります。だからこそ選考でも、経歴の華やかさよりも、その人がどれだけ自分の頭で考えられるかを重視しています。
自分で考える力があり、自発的に行動できる人を求めているのも、同じ理由からです。私たちの仕事は、誰にでもできる仕事ではないからこそ、そうした人でなければ任せられない場面が多いというのが実感です。また、学歴や経歴だけでは正当に評価されてこなかったけれど、実は能力のある方は一定数いると思っていて、そうした方に力を発揮してもらえる場を用意することにも、社会的な意味があるのではないかと感じています。
座右の銘は、「迷ったら、難しい方の道を選ぶ」という考え方です。中学、高校生の頃に思いついた考え方で、一見すると意識が高いように聞こえるかもしれませんが、理由は少し違います。
何かを選ぶときに「迷う」ということ自体、実は大きな心理的コストです。将来どちらを選んだ方が良かったかなんて、選んだ後になっても絶対にわかりません。それなのに、迷うことにコストを払い続けるのは無駄だと感じています。もし選んだ結果がうまくいかなかったとき、人は「あのときああしていれば」と後悔しますが、それは自分の意志でその選択をしたと思っているから生まれる感情です。だったら最初から「迷ったら難しい方を選ぶ」と決めてしまえば、そこに自分の意志を介在させずに済み、後悔も生まれません。
そもそも、明らかに難しいだけで何のメリットもない道であれば、迷うことすらないはずです。迷うということは、その難しい道に何かしらの価値があるということでもあります。この考え方は仕事にも重なっていて、簡単に売上を伸ばせるやり方はほかにもあるかもしれませんが、あえて難易度の高い、差別化された仕事を選び続けてきたのも、同じ理由からです。
社会的にどういう意味を持てるかということも、大切にしたい価値観のひとつです。お金を持っていることだけを基準にするのではなく、自分たちが社会にどんな意味を提供できるかを考えたほうが、意味のない競争に巻き込まれずに済むと思っています。
難しい方の道を選ぶ。