課題と効果

課題

  1. 実行成功率はわずか64.4% 3回に1回以上が失敗し、成功するまで実行を繰り返す運用が常態化していた
  2. この1本のRPAが全体の稼働時間の43%を占め、不安定さの影響が業務全体に及んでいた
  3. 稼働回数でも全体の48%を専有し、失敗のたびに現場の再実行対応が発生していた

効果

  1. リファクタリングにより実行成功率を64.4%から80%へ
  2. 安定運用への信頼を獲得し、同部署の新業務に対して新規RPAの導入が決定

導入前

複数回実行してようやく成功する、という運用の実態

この基幹RPAは、他ベンダーによって設計・構築されたものだったが、1つのRPAに複数の処理を詰め込んだ設計になっており、実行環境への負荷が大きく、環境起因の処理失敗が多発していた。1回の実行では成功せず、何度も実行し直してようやく処理が完了するという不安定な状態が続いており、現場ではこれが「当たり前の運用」として常態化していた。

看過できなかったのは、このRPAが全体の稼働時間の約43%、稼働回数の約48%を占めていたという点である。業務全体に占めるウェイトが大きいだけに、実行の不安定さがもたらす影響も相応に大きかった。

図:不安定な実行の実態と業務全体への影響度

再設計

「安定性」「効率性」を軸にしたリファクタリング

対応にあたって最初に行ったのは、半期ごとの利用実績レポートを作成し、どこにどれだけの負荷と失敗が発生しているかを定量的に把握することだった。この可視化の結果、環境起因による処理失敗の多発という根本課題が明確になった。

これを踏まえ、既存のRPAを次の2つの機能に整理してリファクタリングを実施した。1つは、システム上の情報を自動で参照し、システム更新用のXMLファイルを生成するRPA。もう1つは、指定されたPDFファイルをシステムへ自動アップロードし、あわせて既存の古いPDFをシステム上で非公開に設定するRPAである。

これら2つの再設計にあたっては、「安定性」「効率性」の2点を重視した。実行環境が重く環境起因の処理失敗が多発していたことを踏まえ、エラー処理を強化。UiPathの最新機能を積極的に取り入れることで、環境の一時的な不安定さにも耐えうる構成へと作り直した。

特に重視したのは、処理が途中で失敗した場合の「再実行の安全性」である。従来のように何度も実行し直すこと自体は避けられないとしても、再実行のたびにシステムやデータへ意図しない影響が及ぶことがないよう、何度でも安全にやり直せる設計としている。

図:再設計した2つのRPAと重視した2つの観点

導入後

成功率は64.4%から約80%へ、16ポイントの改善

リファクタリングの結果、実行成功率は64.4%から78.1%まで改善し、13.7ポイントの向上となった。環境起因による処理失敗の多発という根本課題に対して、エラー処理と安定性の確保で応えた成果が、数値に表れた形だ。

これに加えて、数値の改善にとどまらず、安定運用そのものへの信頼獲得にもつながっている。本プロジェクトの成果に満足したクライアントから、新業務に対しても新規RPAの導入が決定するなど、次の展開にも結びついている。

図:リファクタリング前後の実行成功率

他ベンダーが構築したRPAの不安定な運用に悩まされている、あるいは失敗のたびに現場が再実行対応に追われている――同様の課題を抱えている企業にとって、参考になる事例ではないでしょうか。