課題と効果
課題
- 社内システムのマスタ情報更新や社外向け請求書作成など、複数の小規模業務を各1〜数名のみが把握し、対応が属人化していた
- 一部業務では作業手順書自体がなく、入力ルールや例外対応を担当者の記憶に頼っていたため、担当者不在時に業務が止まるリスクを抱えていた
効果
- 業務整理・仕様書化を経て4業務をUiPathで自動化し、離任・休職を控えた担当者の業務も他メンバーが遂行できる状態を実現
- 自動化による作業ミスの抑制により、成果物のチェック工数・回数を削減
導入前
「その人しか分からない」業務が複数存在するリスク
顧客企業内には、社内システムのマスタ情報更新や社外ユーザー向けの請求書作成など、個人や数名のみが業務内容を把握している小規模な業務が複数存在していた。その一部には作業手順書すら存在しておらず、入力項目や例外時の判断基準が担当者の記憶だけに頼った状態になっており、担当者が不在になった際に業務そのものが回らなくなるリスクを抱えていた。
本プロジェクトとは別の商流で、同クライアントに対してUiPathによる自動化支援を行っていた実績があり、その実績を踏まえての依頼という経緯で、本プロジェクトが始動した。

図:属人化がもたらす2つのリスク
再設計
業務整理・仕様書化を経て、4つの業務をUiPathで自動化
本プロジェクトでは、ウォーターフォール型の進行でUiPathによる自動化を推進。対象としたのは、社内システムのマスタ情報更新、社外ユーザー向けの請求書作成、入金処理用インポートデータ作成、Jira課題の棚卸という4つの業務である。

図:業務整理から自動化までの進め方
自動化の前段階にある、業務整理・仕様書化というプロセス
重視したのは、単にツールで自動化するだけでなく、開発に着手する前段階で業務内容・手順を整理し、仕様書・手順書として言語化するプロセスを挟んだことである。属人化した業務には、担当者自身も意識しないまま行っている例外対応や判断基準が潜んでいることが多い。こうした暗黙のルールを自動化着手前に洗い出さずに開発を進めると、稼働後に想定外の例外でロボットが止まったり、後から仕様の手戻りが発生したりしやすい。
今回はこの整理を先に行ったことで、対象範囲・処理ロジックを漏れなく反映した状態で自動化に着手でき、稼働後の手戻りを防ぐことができた。あわせて、この仕様書・手順書は自動化の設計図であると同時に、業務内容そのものを言語化した文書として、担当者の頭の中にしかなかった知識を組織の資産に変える役割も果たしている。
導入後
担当者が離任・休職しても業務が回る状態へ
本プロジェクトが目的としていたのは、定量的な効果創出よりも、属人化の解消という定性的な課題解決だった。実際、プロジェクト実施中に一部の業務担当者が離任・休職する予定があったが、開発前の業務整理・仕様書作成・UiPathによる自動化を経て、他の担当者でも業務を遂行できる状態を実現している。

図:業務対応可能状況の変化
あわせて、手作業での入力・転記に起因していたミスの発生自体が抑制されたことで、成果物のチェック作業についても、その回数を減らした運用へと切り替えることができた。属人化の解消と作業品質の安定は、表裏一体の成果として同時に得られたことになる。
担当者の頭の中にしか残っていない業務がある、あるいは属人化解消と自動化を同時に進めたい――同様の課題を抱えている企業にとって、参考になる事例ではないでしょうか。