• COLUMN
  • AI

・AXとは?DXとの違いや導入メリット、活用事例をわかりやすく解説

2025.7.1

本コラムでは、業務自動化の新たなアプローチ「AX(Automation Experience)」について深掘りし、その特徴本コラムでは、業務自動化の新たなアプローチ「AX(Automation Experience)」について深掘りし、その特徴や導入の効果を明らかにします。特に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)との違いに焦点を当て、AXがどのように業務の効率化や生産性向上に貢献するか、 実例を交えて紹介します。

業務の自動化がもたらすメリットを知り、AX導入の可能性を探ることで、企業の未来を切り開く鍵を見つけてみましょう。

AXとは?

AX(Automation Experience)は、業務の自動化を推進し、従業員や企業全体の生産性を向上させるための戦略的なアプローチを指します。主に、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)技術を中心に、業務プロセスの自動化に取り組む方法論です。AXの目的は、定型的な作業やルーチンワークを自動化し、人間の労力を解放することで、業務の迅速化と効率化を実現することにあります。

AXは単なるツールの導入ではなく、組織全体の業務フローを最適化し、業務プロセスを自動化する文化を根付かせることを目指します。これにより、社員はより価値の高い業務に集中でき、競争力を強化することができます。

AXとRPAの違いは?

AXはRPAと似た概念として語られることが多いですが、RPAが特定業務の自動化ツールを指すのに対し、AXは業務プロセス全体を戦略的に自動化・最適化する「体験」を重視した包括的アプローチです。

RPAツールは、操作の記録・再生を主とするものから、AIと連携する高度なツールまで多岐にわたります。AXを実現するには、業務プロセスの全体最適に適したRPAツールを選定することが重要です。たとえば、UiPathは汎用性が高く、Power AutomateはMicrosoft製品との親和性が高いのが特徴です。

DXとは?

・DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、ビジネスプロセスや業務、企業文化、顧客体験を変革することを指します。単にITシステムを導入することではなく、企業のビジネスモデルや価値提供の方法自体をデジタル技術によって革新するプロセスです。DXは、以下のような側面で企業に大きな影響を与えます。

  • 業務効率化: デジタル技術を使って業務を自動化し、コスト削減や作業効率の向上を実現します。
  • 顧客体験の向上: 顧客との接点をデジタル化し、よりパーソナライズされたサービスを提供します。
  • 競争優位性の強化: データ分析やAIの活用により、迅速で正確な意思決定ができるようになります。
  • 新たなビジネスモデルの創出: デジタル技術を活用した新しいサービスやプロダクトの提供を可能にし、市場での競争優位を確立します。

企業は上記の内容を参考に、市場の変化に柔軟に対応しながら、顧客満足度の向上と持続可能な成長の両立を図ることができます。

関連記事https://itso.co.jp/columns/category/ai/columns-1537/    

・DXの活用事例
ここからは、企業がどのようにDXを導入して成功を収めているのか、実際の事例を見てみましょう。

人事労務のDX化導入-事例: 人事管理システムの導入

人事労務分野では、従業員のデータ管理や労働法の遵守、給与計算などの業務がDXによって大きく変わっています。

企業では、従業員の勤務状況や給与、福利厚生の情報を一元管理するために、クラウド型の人事管理システムを導入しています。このシステムによって、手動で行っていた給与計算や福利厚生の管理が自動化され、管理者の負担が軽減されました。

関連記事:https://itso.co.jp/columns/category/ai/columns-1537/

AXとDXの違いとは?


AXとDXの主な違いは、アプローチの範囲と目的にあります。AXは主に業務の自動化に焦点を当て、組織内でAXとDXの主な違いは、アプローチの範囲と目的にあります。AXは主に業務の自動化に焦点を当て、組織内で行われる反復的な作業やプロセスを効率化します。AXは業務の効率化を重視し、作業のスピードアップと品質向上を目指します。

一方で、DXは企業全体の変革を目指しており、ビジネスモデルやサービスそのものをデジタル技術を使って革新することを含みます。DXはもっと広範な視点で、業務の自動化だけでなく、顧客体験やビジネス戦略の革新も取り組むべき課題となります。

1 アプローチの範囲
AXは業務の効率化と自動化に焦点を当てています。主に、定型的な業務やプロセスの自動化を目的としており、業務のスピードアップやコスト削減を狙います。
DXはもっと広範で、業務の自動化だけでなく、企業のビジネスモデルやサービス自体をデジタル技術で革新し、企業全体を変革します。DXは企業の長期的な成長を支える戦略的な変革を促進します。

2 目的の違い
AXは「効率化」と「コスト削減」を目的とし、主に企業内部で行われる業務の自動化を目指します。
DXは「競争力強化」と「新たなビジネス価値の創出」を目的としており、企業の外部環境(顧客や市場)にも影響を与える変革を目指します。

3 導入の影響範囲
AXは業務プロセスに限定されることが多く、企業内部の改善に焦点を当てます。
DXは企業全体、さらには業界や市場にまで影響を及ぼす可能性があり、外部環境との関わりも重要です。

AXとDXは、デジタル化を進める方法として重要ですが、その焦点と目的には大きな違いがあります。AXは業務の効率化と自動化に特化しており、組織内のプロセスを改善することを重視しています。一方、DXは企業全体の変革を目指し、ビジネスモデルや顧客体験の革新を通じて、企業の成長と競争力を強化します。AXとDXの違いを理解し、自社の状況に合わせた導入を検討することが、成功への鍵となります。

AXを効果的に導入するためには、まず「自動化すべき業務の選定」から始め、PoC(概念実証)を通じて小規模導入を行い、成果を確認したうえで全社展開するステップが推奨されます。社内コミュニケーションや教育も成功要因の一つです。

AX導入のメリット

AXの導入によるメリットは、単なる効率化やコスト削減にとどまらず、企業全体の業務改善と従業員の満足度向上にも大きな影響を与えます。これらのメリットを具体的に説明します。

1. 業務効率化

AXを導入することで、反復的な定型作業を自動化し、業務全体のスピードを大幅に向上させることができます。例えば、データ入力、ファイル管理、承認プロセスなど、手動で行われることが多い作業を自動化することで、これらのタスクにかかる時間を短縮できます。

具体例:

  • 請求書処理:手動で行っていた請求書のデータ入力や確認作業をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で自動化することで、月末や四半期ごとの処理時間を数日から数時間に短縮。
  • 在庫管理:商品入出庫のデータ更新や在庫数のチェックを自動化することで、リアルタイムで正確な在庫情報を提供し、欠品や過剰在庫を防止します。

従業員は、こうした自動化された作業から解放され、より付加価値の高い業務や戦略的なタスクに集中できるようになります。

2. コスト削減

AXの導入により、作業の時間が短縮され、手作業に伴うエラーが減少することで、コストの削減が実現します。特に、反復的な業務を自動化することで、人的リソースの最適化が可能となり、同じ業務量を少ない人員で処理できるようになります。

具体例:

  • カスタマーサポート:チャットボットやAIを活用したFAQシステムを導入することで、問い合わせ対応の手間を削減し、従業員の対応時間を減らすことができます。これにより、サポートチームの負担を軽減し、他の業務にリソースを割くことができるようになります。
  • 経費精算:経費の申請、承認、振込処理などの流れを自動化することで、手動でのチェックや確認作業の削減が可能となり、管理コストを低減できます。

コスト削減は、業務効率化の直接的な成果として、企業全体の利益向上にも貢献します。

3. 業務品質の向上

AXは業務の精度や一貫性を高め、品質の向上に寄与します。人間による作業はどうしてもミスが生じることがあり、特に反復的な作業ではエラーの頻度が高くなります。AXによる自動化は、こうした人的ミスを最小限に抑え、品質を保つことができます。

具体例:

  • データ処理:手動で行っていたデータの入力や集計において、エラーや不正確な情報が入力されるリスクを減らすことができます。自動化されたシステムは常に一定の基準に従って動作し、データの正確性を確保します。
  • 製造ライン:自動化された検査システムや機械は、一定の品質基準に従い製品のチェックを行います。これにより、製品の不良率を減らし、高品質な商品を提供することが可能になります。

品質が向上すれば、顧客満足度も高まり、企業の信頼性が向上するため、長期的には顧客のリピートや新規顧客の獲得に繋がります。

4. 従業員の満足度向上

AXの最大の利点の一つは、従業員のモチベーションや満足度を向上させることです。反復的で単調な作業から解放されることで、従業員はより創造的で価値のある業務に集中できるようになります。また、業務の効率化により仕事のストレスが減少し、仕事に対する満足感が向上します。

具体例:

  • データ入力業務の削減:従業員が毎日大量のデータ入力作業を行っていた場合、その作業が自動化されることで、従業員はより戦略的な業務や、クリエイティブな業務に時間を充てることができます。これにより、従業員は自己成長を実感し、モチベーションが向上します。
  • 意思決定サポート:自動化されたレポートや分析ツールを使用することで、従業員は迅速でデータに基づいた意思決定ができるようになります。これにより、意思決定の質が向上し、仕事の充実感が増します。

満足度の向上は、従業員の離職率の低下や業務への積極的な取り組みを促進し、企業全体のパフォーマンス向上に繋がります。

これらの具体的なメリットを享受するために、AXを導入する企業は、単に効率化を目的とするだけでなく、従業員や顧客にとっての価値を最大化することを目指します。AXを通じて企業の業務プロセスが改善されると、競争力が向上し、将来的な成長に繋がるため、早期の導入が有益であると言えるでしょう。

AXの活用事例

AXの活用事例はさまざまな業界で見ることができます。例えば、製造業では、製品の品質検査や工程管理の自動化が行われています。事務職では、請求書処理やデータ入力の自動化が進んでおり、企業のバックオフィス業務の効率化が図られています。

また、カスタマーサービス業では、AIチャットボットを活用し、顧客対応の一部を自動化することによって、顧客の満足度向上と同時に、従業員の業務負担軽減を実現しています。

ここからは、具体的な企業のAX活用事例について業界別にご紹介します。

1. 製造業A社:生産ラインの自動化

A社は、製造業における業務効率化を目的にAXを導入しました。特に生産ラインにおいて、部品の検査や組み立て作業の一部を自動化するためにロボティクスやAIを活用しました。

導入前の課題:

  • 手作業で行われていた検査工程での人為的ミスが多発。
  • 労働力不足や長時間労働が問題となっていた。

導入後の効果:

  • 業務効率化:自動化された検査システムにより、検査作業のスピードと精度が大幅に向上。特に細かい部品検査の速度と品質が改善され、エラーの発生率が10%減少。
  • 品質向上:自動化されたシステムは24時間稼働し、常に一定の基準で作業を行うため、品質が安定し、製品の不良率が30%減少。
  • コスト削減:自動化により、検査のために必要な人的リソースが減少し、年間の人件費が20%削減されました。

2. 金融業B社:顧客対応の自動化

B社は、カスタマーサポート業務の自動化にAXを導入しました。特に、顧客からの問い合わせ対応や資料の確認などをAIチャットボットで代替することを決定しました。

導入前の課題:

  • 顧客からの問い合わせに長時間の待機が発生しており、対応に遅れが生じていた。
  • 顧客対応の質が均一でないため、サービスの信頼性に不安があった。

導入後の効果:

  • 業務効率化:AIチャットボットが24時間365日対応し、顧客の問い合わせに即時で返答できるようになり、オペレーターへの負担が大幅に軽減されました。電話やメールでの対応時間が50%削減されました。
  • 顧客満足度の向上:AIチャットボットが常に一定の品質で対応するため、顧客からの問い合わせに対する満足度が向上。顧客満足度調査の結果、満足度が15%向上しました。
  • コスト削減:人員削減が進み、サポートチームのコストが20%削減され、効率的な業務運営が実現しました。

3. 小売業C社:在庫管理の自動化

C社は、オンライン販売を行う小売業で、在庫管理システムの自動化を目的にAXを導入しました。特に、商品入荷から出荷、返品処理までの在庫管理フローを自動化しました。

  • 在庫データが手動で更新されていたため、在庫数の誤差が頻繁に発生。
  • 在庫管理にかかる手間と時間が非常に多く、出荷の遅延が問題となっていた。

導入後の効果:

  • 業務効率化:入庫・出庫作業のデータがリアルタイムで更新されるようになり、在庫数の誤差が解消されました。また、商品のピックアップ作業を自動化することで、出荷時間が大幅に短縮されました。
  • 品質向上:誤った在庫数によるオーバーシッピングや欠品がなくなり、正確な在庫管理が実現しました。結果として、顧客への納品遅延が0件となり、顧客満足度が向上しました。
  • コスト削減:在庫管理業務にかかる時間が30%削減され、人的リソースの最適化に成功。管理コストの削減と効率化が実現しました。

4. 医療業界D社:患者データの処理自動化

D社は、患者情報の管理やレセプトの処理業務を自動化するためにAXを導入しました。これにより、医療従事者の負担を軽減し、患者への対応を迅速化しました。

導入前の課題:

  • 患者のデータ入力や処理に時間がかかり、医療従事者が本来の診療業務に集中できていなかった。
  • レセプト処理にミスがあり、再処理が発生していた。

導入後の効果:

  • 業務効率化:患者の情報入力やレセプトの自動化により、医療従事者の事務作業が大幅に削減され、診療業務に専念できるようになりました。
  • ミスの減少:データ入力エラーやレセプトミスが大幅に減少し、再処理の必要がなくなりました。これにより、患者への請求処理が迅速に行われるようになりました。
  • 従業員の満足度向上:事務作業から解放された医療従事者は、より患者対応や診療に集中できるようになり、業務に対する満足度が向上しました。

AX導入後の効果を最大化するには、処理時間短縮率、エラー削減率、従業員の対応時間などのKPIを明確に設定することが不可欠です。これにより、導入効果を定量的に評価し、継続的な改善につなげることができます。

業務効率化を目指す企業がAXを選ぶべき理由

AX(Automation Experience)は、業務自動化を推進し、企業全体の生産性向上や効率化を実現するための強力なアプローチです。RPA技術を中心に、定型作業やルーチン業務の自動化を目指し、社員がより価値の高い業務に集中できる環境を提供します。AXとDX(デジタルトランスフォーメーション)の違いを理解することで、企業はそれぞれのアプローチを適切に導入し、業務の効率化だけでなく、競争力の強化にも繋がります。

AXの導入により、業務のスピードアップやコスト削減、品質向上、そして従業員の満足度向上など、企業全体の改善が期待できます。実際に、製造業、金融業、小売業、医療業界など、多くの業界でAXが導入され、顕著な成果を上げています。これらの事例は、AXがどれほど企業にとって価値のある投資であるかを証明しています。

AXを導入することにより、企業は業務プロセスを自動化し、競争力を向上させ、将来的な成長に繋がるため、早期の導入が鍵となります。業務の効率化、品質向上、コスト削減といった直接的なメリットに加えて、従業員のモチベーションや満足度を高めることが、企業全体のパフォーマンス向上に繋がります。AXを取り入れることで、企業は変革を実現し、より未来志向の運営が可能になります。

本記事で紹介した 事例を通じて、AXの活用の幅広さを実感し、企業にとってのメリットを最大化するための戦略を立てていきましょう。

AXの導入で迷っている方はお気軽にご相談ください。

☞ AX導入についてのご相談はこちら

ページトップへ