Power Platformとは?Power Platformについて解説

2024.12.23

Microsoftは「Microsoft Power Platform」というクラウドサービスを展開しています。「Microsoft Power Platform」はアプリ作成やデータの収集・解析などをローコードで実現できる製品です。

多くの機能を使えるPower Platformですが、具体的にどのような機能があって何ができるのか解説します!

Power Platformとは?

Power Platformはアプリ作成やデータの収集・解析、データ連携などをローコードで実現できる製品で、「ローコード開発ツール」のひとつにあたります。機能は後述で記載しています が、5つのサービスを総称してPower Platformと呼ばれます。

ローコード開発ツールは、高度なプログラミングスキルを要さないため、業務アプリケーションの開発およびメンテナンス作業を社内で完結することが可能です。こ作業を自動化することで、自社によるシステム内製化や、外部ベンダーへの依存からの脱却が図れます。また、通常のソースコードを記述する開発手法に比較して短期間での開発が可能であるため、コスト削減にも寄与します。

上記の 理由から、近年頻繁に 耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応やIT人材不足の解消など、企業を取り巻いている問題に対応できるツールと言えます。

各アプリケーションの機能

Power Platformは「Power Apps」「Power Automate」「Power BI」「Power Pages」「Copilot Studio」の5つのサービスで成り立っています。一つずつ、機能の概要を簡単に説明していきます。

Power BI

Power BIは、データの収集・分析・可視化を行うツールです。 ダッシュボードやレポートを作成し、視覚的にデータを把握できます。ExcelやSQL Server、SharePointなど多様なデータソースと接続可能です。

Power BIにもデスクトップ版があり、無料で使用することができます。しかし 、デスクトップ版では組織内で共有することはできません。社内で共有したい場合は有償版のライセンスが必要になります。

Power Apps

Power Appsは、プログラミング知識がなくても業務アプリを作成できるツールです。ドラッグ&ドロップの操作でUIを設計し、データベースと連携してアプリを構築できます。

Power Appsで作成できるアプリは複数のタイプがあり、それぞれ用途によって使い分けることが可能です。

Power Automate

Power Automateは、業務プロセスの自動化を支援するツールです。メール送信やデータの自動入力、承認ワークフローの構築などが可能であり、業務の効率化を実現します。

また、Power Automateでは1,000を超える外部サービスやアプリと連携することが可能です。Microsoft製品やそれ以外のサービス・アプリに接続するための「コネクタ」と呼ばれる機能が用意されており、簡単に連携することができます。

Copilot Studio

Copilot Studioは手軽にチャットボットを作成できるサービスです。キーワードとその回答を設定しておくと、入力された内容から関連性のある回答を導き出して自動で返信してくれるような機能を作成することが可能です。

社外向けの問い合わせ用に作成したり、社内であれば、よくある質問とその回答をチャットボットにまとめたりしておくと、手間の削減に繋がるでしょう 。。

Power Pages

2022年に公開されたPower Pagesは、外部向けのビジネスWebサイトを作成できるPower Platformの最も新しいサービスです。

新サービスとは言っても、先ほど紹介したPower Appsから「ポータル」が進化したサービスですが、よりデザイン性が優れたWebサイトを簡単に構築できるようになりました。
デフォルトのテンプレートを使用すれば、コードを書くことなく比較的 早いスピードでサイトを作成することができます。

最近では、上記5つのサービスに対してAI 機能が搭載されました。自然言語の入力に基づいて、Power Appsではアプリ、Power Automateではフローといったように、AIが設計してくれるようになったのです。

上記の機能を使う子で開発がさらに容易になります。各アプリケーションやフローを作成するかを明確に定義する能力が求められますが、開発時間の大幅な短縮が可能になると考えられます 。

Power Platformの管理センターとは?

Power Platformには「Power Platform管理センター」という統合管理ツールが用意されています。ここでは、環境の作成・管理、ユーザー権限の設定、セキュリティの制御、データ統合の管理などを行えます。

主な機能として以下のものがあります。

 • 環境管理:開発・本番環境の管理
 • ユーザー管理:アクセス権限の設定
 • データポリシーの設定:組織のセキュリティルールを定義
 • 接続の管理:データソースとの連携設定
企業がPower Platformを導入する際は、この管理センターを活用することで、安全かつ効率的に運用が可能です。

Power Platformが注目されている背景

上記で説明したように、Power Platformは先進的な5つのクラウドサービスで構成されています。利用することで、現代企業が抱えがちなIT課題をダイレクトに解決する糸口をつかめるでしょう。近年は以下の課題が多く挙げられる傾向にあります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

企業のデジタル化が加速する中、業務の自動化やデータ活用の重要性が高まっています。

ローコード・ノーコード開発の需要増

IT人材不足の課題を解決する手段として、非エンジニアでも業務アプリを開発できる環境が求められています。

Microsoft 365との親和性

SharePoint、Teams、ExcelなどMicrosoft製品との連携が容易で、既存のIT環境にスムーズに組み込めます。

柔軟なカスタマイズ性

各ツールを組み合わせて、自社に最適なシステムを構築できます。

業務の可視化と効率化の向上

Power BIを活用することで、リアルタイムのデータ分析が可能になり、意思決定のスピードが向上します。

コスト削減

Power Automateによる業務の自動化で人的コストを削減し、手作業のミスを防ぐことができます。

クラウドネイティブな運用

クラウドベースのプラットフォームであり、リモートワークやハイブリッドワーク環境にも適しています。

データの一元管理

Dataverseを活用することで、企業内のデータを統合し、効率的なデータ管理が可能になります。

他システムとの連携性

APIやコネクタを利用して、さまざまな外部システムとシームレスに統合できます。

セキュリティ強化

Microsoftのセキュリティ基準に準拠し、データ保護やアクセス管理を強化できます。

Power Platformを使うメリットとは?

他Microsoft製品との親和性

たとえば、Dynamics 365を既に導入している場合、Power Platformを活用することで、Dynamics 365のデータを直接利用し、新規アプリケーションの開発時などにそのまま使用することが可能です。これにより、新たなデータベースを構築する必要がなくなり、手間やコストの削減が期待できます。また、Power Platformを用いて、Dynamics 365の機能を拡張する用途にも適しています。

他のMicrosoft製品とのシームレスな連携を実現するためのコネクタが多数用意されているため、他のツールでは煩雑になる連携プロセスも、Power Platformを通じて容易に行うことができます。Power Platformは、他のローコード開発ツールとは異なり、Microsoft製品との高い親和性を持つため、Microsoft製品を積極的に活用している企業にとって使いやすいツールといえるでしょう。

開発費用を抑えられる

基本的にローコード開発であるため、ソースコードを書いて構築するよりも専門性も必要なく、簡単に短期間で作成することができます。社内で内製化することができれば、ベンダーとの打ち合わせ時間や定例会などの時間を短縮することができるため、開発コストを抑えられるでしょう。

また、Power Platform自体に5つのサービスが備わっているため、複数のシステムを導入する必要がないこともメリットです。複数のシステムを導入することで起きる運用コストの増大も防ぐことができます。

費用を抑えつつDX化を進められるのは、Power Platformの大きなメリットと言えます。

業務全体での最適化を実現

特定の業務にのみシステム導入を行うと、システムが導入された業務は最適化されますが、他の業務は最適化されない可能性があります。これは、データの連携が不十分だったり、複数のツールの管理が難しくなったりなど、さまざまな要因によります。

Power Platformでは、このような個別最適化ではなく、全体の業務を最適化することを目指しています。

アプリの作成やデータ連携、データ分析までPower Platformで完結できることはもちろん、ExcelやWord、Azureなどを用い、お客様の現在の業務それぞれに合った最適化を実現することが可能です。

Power Apps、Power Automateなどサービス単体での使用も効果的ですが、他のサービスやMicrosoft製品と組み合わせることでさらに効果を発揮することができます。

内製化を実現できる

Power Platformを導入して、Microsoft 365をはじめとした製品と組み合わせることにより内製化の実現が可能です。組み合わせて使うことで、それぞれのコミュニケーション機能の強化やアプリの作成などさまざまな業務において業務改善活動ができます。

Power Platformはローコードもしくはノーコード開発が可能なため、アプリ開発を外部に委託せず自社で完結できます。外部への依頼が不要となることで、開発期間が短縮できるため、スピーディーな導入が可能です。

高度なセキュリティで守られたサーバー環境

Power Platformは高度なセキュリティを有したサービスです。Microsoftが定期的なウイルスチェックを行います。

Microsoftはセキュリティに大規模な投資をし、常に積極的にセキュリティ対策を行っています。多くの国家機関や医療機関、金融機関などがMicrosoft製品を導入していることからもセキュリティの高さがうかがえるでしょう。Power Platformはクラウドサービスであるため、保守作業が不要になることから人材不足やコスト削減への対策にもなります。

Microsoft 365の利便性の向上

Power Platformはさまざまなツールと連携が可能です。例えばPower platformの1つであるPower AppsはExcelと連携することで、よりスムーズな帳簿を作成できます。Excelの連携したツールとして活用するだけでなく、Excelのデータを読み込んで出力するためのツールとしても利用可能です。

Power Platformよりできないこと

Power Platformは、ローコードで業務アプリ開発や データ分析、ワークフロー自動化などに非常に便利なツールですが、できないこともあります。Power Platformを導入する際は、以下の2点を認識しておきましょう。

Power Appsで作成したアプリの一般公開はできない

Power Appsで作成したアプリは、社内利用に限定されており、一般公開はできません。Power Appsは、Power Platform環境内のデータにのみアクセスできますが、アプリを一般公開する場合は、外部とのアクセスが必須のため一般公開ができない仕様となっています。アプリを一般公開すると、悪意のあるユーザーが悪用する可能性もあり、セキュリティリスクが高くなることも制限をかけている理由のひとつです。

Power Appsのアプリを外部のユーザーに共有する場合は、ゲストユーザーとしてアカウントを追加することを検討しましょう。

複雑な機能を実装することは難しい

Power Platformは、シンプルなアプリの作成に適しています。 複雑な機能や高度なロジックを必要とするアプリ開発には難しいことが多いです。

Power AppsとPower Automateを組み合わせることで、複雑な機能の実装も可能ですが、Power Platform自体が軽量なプラットフォームのため、処理速度が低下する可能性が高いです。複雑なアプリ開発には、従来の多くのコードを記述する開発方法を用いる必要があります。

ライセンスについて

Power Platformというライセンスはありませんので、使いたい機能を確認した上で購入する必要があります。一部のアプリケーションでは期間が限定されるものの無償版も用意されています。

 • Power Apps Premium  :1ユーザーあたり月額2,998円
 • Power Automate Premium:1ユーザーあたり月額2,248円
 • Power BI Pro      :1ユーザーあたり月額1,499円
 • Power BI Premium    :1ユーザーあたり月額2,998円
 • Copilot Studio      :月額29,985円 (25,000 メッセージ/月)
 • Power Pages      :認証済みユーザー、〜100ユーザーまで29,985円

※最新のライセンス情報に関してはMicrosoft社公式Webサイトでご確認いただくようお願いします。

Power Platform導入におすすめ組織

Power Platformは特に以下のような組織におすすめです。

  1. 中小企業
    o IT部門のリソースが限られている企業でも、業務の自動化やアプリ開発を迅速に行える。
  2. 大企業
    o 部門ごとの業務効率化や、社内アプリの開発・データ分析に活用可能。
  3. 業務改善を求める企業
    o 手作業が多い業務をデジタル化し、効率を向上させたい企業に最適。
  4. Microsoft 365を導入している企業
    o 既存のMicrosoft製品とスムーズに統合でき、相乗効果が期待できる。

また、アプリケーション作成が簡単かつスピーディーに実装できるPower Appsの活用もおすすめします。ノーコード開発ではなくローコード開発のため、ある程度のツールを使いこなすスキルは必要ですが、手軽にアプリケーションを導入したいというシーンで活用できることでしょう。

Power Platformの活用事例

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車は全社的にDXを推進しています。その一環として、工場での「Microsoft Power Platform」を用いた現場主体の「市民開発」によるアプリ開発が進行中です。

アプリ開発を実行したことで、システム開発の内製化が実現し、リードタイムの短縮や業務効率化、デジタル領域での改善効果が得られています。共通システムの迅速な展開や、品質管理にAIを利用するなど、先端技術の活用にも積極的です。また、安価なボードコンピュータを用いた自前の装置開発も進めています。

「Microsoft Ignite」イベントでPower Platformの 簡便さに驚き、業務担当者が自らアプリ開発を行うことで外部委託の必要がなくなり、効率化が進むことを確信したそうです。実際に業務効率が300%以上向上するなど、具体的な効果も確認されています。
参考:トヨタ自動車株式会社 事例

東京地下鉄株式会社

東京地下鉄株式会社は、Microsoft Power Appsを活用して、線路保守業務の効率化と社員の負担軽減を実現しています。都内に9つの路線があり、約200kmにも及ぶ全路線の目視での点検に膨大な時間と労力を要していました。

東京地下鉄株式会社は 、Azure Cognitive ServicesとPower Appsを組み合わせ、線路画像から設備劣化などの異常を自動検出するソリューションを開発しました。Power Appsで作成したアプリは、Custom Visionで構築した検出モデルと分類モデルを呼び出し、締結装置の正常/異常を自動判定します。

このソリューション導入により、点検にかかる時間を大幅に削減し、社員の負担を軽減できました。また、AIによる高精度な異常検知により、予兆保全が可能となり、安全性の更なる向上にも貢献しています。

Power Platformで業務プロセスの改善やDX推進を

Microsoftが提供しているPower platformは、情報の共有や業務プロセスの改善につながるツールの作成が可能です。ノーコードであることからプログラミングの知識が不要で、IT人材不足の解決にもつながります。クラウドサービスであることから、業務効率化やコスト削減、充実したセキュリティ環境に置くことも可能といえるでしょう。

株式会社ITSOではMicrosoft製品に精通した経験豊富なエンジニアが在籍しています。DX化を推進するための内容整理方法や、着手方法にお困りの企業様には、上流工程からご案内いたします。

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